2014-08-25 Mon
8月22日(日)にハートピア京都の第4会議室で開かれた、京都現代中国研究所主催、日中友好協会京都府連合会(日中京都)協賛の文化講演会を聴講してきました。講師は長崎大学名誉教授で福州大学客員教授の井手啓二先生。井手先生はわが日中京都の本部である日中友好協会の参与で、同協会が発行している『日中友好新聞』の執筆者でもあります。また日中京都では常任理事を務められています。こちらが井手啓二先生

講演のテーマは
「中国の現状をどうみるか?改革の全面深化とは?」
講演の概要は次のとおりです。
「2012年11月の第18回党大会、2013年11月の18期3中全会決定にもとづき、中国は2020年を目途とする改革の全面的深化時代を迎えた。2014年は改革深化元年と称される。18期3中全会決定は、15領域60項目(細目では336項目)に及ぶ。習・李新政権の成立とともに開始された改革の全面的深化路線とその背景を論ずる」(当日のレジュメより)
中国は今年、建国65周年を迎えます。1945年の建国以来、中国経済には大きな節目が何度かあったといわれています。まずは1978年、伝統的社会主義計画経済・鎖国主義から離脱し、社会主義市場経済化に転換した改革・開放。次は、1992~1993年の社会主義市場経済化路線の採用。そして最大の節目は2001年12月のWTO加盟。WTO加盟の効果で、胡錦涛・温家宝時代の中国は、いわゆる「21世紀最初の黄金の10年」と称される2桁成長を遂げます。
ところが、習近平・李克強が担う第2の10年は、輸出・投資主導、その後の融資・投資主導成長が行き詰まり、7~8%成長の時代となっています。
21世紀に入るとともに明瞭になった先進国経済の低迷、バブル・カジノ化のなかで、内需主導成長に転換を迫られます。さらに、投資主導で高成長を支える方式は、深刻な過剰生産能力の形成を導き、持続不可能であることが明確化。2010年第4半期から成長減速かが始まり、この危機に促迫されて、改革の全面的深化路線の採択にいたりました。改革の核心は、経済・政治・文化・社会・生態文明建設の五位一体の総体改革(国防建設を入れて六位一体の改革と見るべき)です。
この「改革の全面的深化」の成否によって、中国の行く末が大きく変わることから、2014年が大きな区切りになる可能性があるのだそうです。
では2014年、改革はどのように進んでいるのかというと…
(1)汚職・腐敗の大規模摘発(18回大会から8月までに23名の省部級高官送致)
(2)全面的深化改革の具体化(8月中旬までに60項目中39項目は始動)
この二大趨勢なのだそう。
当日の話を思い出しながら、レジュメをもとに、ここまで書いてみましたが、経済オンチの日中京子にはかなり荷が重く、息切れがしております。もちろん、もっと詳しいお話があったのですが、この辺でご容赦ください。(ふぅ~)
こちらは当日の会場の様子です

「改革深化」の背景については、井手先生が2013年2013年9月15日発行の『日中友好新聞』のトップページに「改革深化に向う中国経済 リーコノミクスとは?」という記事を書いておられますのでこちらのページをご覧ください。ほかにも井手先生は『日中友好新聞』の人気コラム「中国レーダー」の執筆者の一人として、定期的に文章を書いておられますので、興味のある方はぜひご購読ください。
各種お問い合わせは日中京都まで。
2014-08-04 Mon
8月2日(土)に日中京都の事務室で行われた、夏の夕べ「二胡の演奏と体験会」に参加してきました。講師は、日中京都の中国語教室の開校式などでも演奏していただいている石本智子さんです。

前半は石本さんによるミニコンサート。
二胡の演奏だけでなく、曲の合間には二胡にまつわる様々なお話をしてくださいました。
後半は、ワクワクドキドキの二胡体験です。
最初の曲は「燕になりたい」
中国の民歌を二胡奏者のチェン・ミンさんが二胡の曲として完成させたそうです。
演奏が始まると、いつも頭を抱えながら勉強している中国語の教室が一瞬にして居心地のいい空間に変わり、二胡の世界に引き込まれました。ここで音色を聴いていただけないのは残念なのですが、誰もが一度は耳にしたことがある曲だと思います。
続いて楽器の説明です。
参加者の皆さんも、二胡がいったいどういう構造をしているのか興味津々です。

二胡は2本の弦を、馬の尻尾で作られた弓でこすって音を鳴らす楽器です。
バイオリンなども弦を弓でこする楽器ですが、二胡の最大の特徴は弓が弦に引っかかっていることです。
少し見づらいかもしれませんが、こんな感じ。弦は金属製です。

胴はニシキヘビの皮。赤い布は雑音防止の効果があるそうです。石本さんが実演してくださいましたが、本当に、あるのとないのとでは、全然音が違いました。
2曲目は「シルクロード」
♪たらり~ら り~ら た~りらりら~♪
私がいくら文字で書いても伝わらないのが残念です。
ここで石本さんの二胡との出会いを紹介しましょう。
22年前、美術系の大学に通っていた石本さんは、大同の石窟などの中国美術を見るために、友達と3人で中国旅行に。そのとき、友達がお土産に買った二胡を、「バイオリン経験者やから弾けるやろ」と渡されたのに、まったく音が出せなかったそうです。数年後、石本さんは偶然二胡を手にいれ、独学で弾いていたところ、11年前に京都に二胡教室ができたのでその門をたたき、今にいたる、のだそうです。
石本さんは22年前の中国旅行の写真を持ってきて見せてくれたのですが、日中京子も同じ頃、初めて中国旅行に行ったので、当時の中国の様子を懐かしく思い出しました。
3曲目は「江南春色」

鳥たちが楽しそうにさえずりあう、江南の春の情景を表現した中国らしい曲です。参加者の皆さんも、目を閉じて風景を思い描いている様子でした。
4曲目と5曲目は日本の曲で「北国の春」と「川の流れのように」
日本の演歌なのに、アレンジが中国風で新鮮でした。あ、でもコブシはしっかりまわっていたような…
二胡は女性の「アルト」の音域に近いと言われているそうです。
ここで二胡の歴史について説明がありました。
唐代にはその原型と思われる楽器が登場したとされている二胡ですが、最初は弓ではなく竹を弦の間に挟んで演奏していたようです。二胡はもともと歌に合わせる伴奏楽器でしたが、1920年代に劉天華という人物が10曲の独奏曲と数曲の練習曲を作曲し、二胡を独奏楽器として完成させたそうです。
6曲目は、劉天華が作曲した「燭影揺紅」
芸人の地位が低かったその昔の、一人の踊り子の心情を描いた曲です。劉天華は西洋音楽にも通じていたそうで、この曲には、ワルツのリズムが取り入れられています。
7曲目は、二胡を始めたら誰もが弾いてみたいと願う憧れの曲「蘇州夜曲」
休憩をはさんで後半はいよいよ楽器の体験です!
石本さんによると、二胡は何はともあれ「体の力を抜く」ことが大事で、体のどこにも負担をかけない楽器なので健康にもよいそうです。




まさに手取り足取り。丁寧な指導のおかげで、皆さんしっかり音を鳴らせるようになりました!
謎の楽器だった二胡が、いっきに身近になりました。
「日中京都で二胡教室やって!」という声も上がりました。それが実現したら楽しそうですね~
最後は「賽馬」という曲でしめくくりです。
「賽馬」とは競馬のことです。個人的にこの曲が大好きな日中京子としては、嬉しいフィナーレでした。
石本さん、本当にありがとうございました。目の前で演奏を聴くことができて贅沢な時間を過ごすことができました。
そして、参加していただいた皆さん、お疲れ様でした。
日中京都では、不定期に様々なイベントを開催しています。
ときどき日中のホームページをチェックしてみてください!